「バイバ~イ」を交わす姿に心洗われて
どこからともなく、かわいい子どもの声が聞こえてきました。「バイバ~イ」「バ~イバ~イ」。ランドセルを背負った帰宅途中の男の子の声です。学校から一緒に歩いてきて、四つ角まできたらそこで2人はお別れ。1人は右へ、もう1人は左へ。「じゃあね」と言ったあと、互いに振り返りながらバイバイを繰り返していました。
明日また学校で会えるというのに、一瞬の別れを惜しむかのようなバイバイ。ああ、こんな時期が自分にもあったなぁと思わず当時を思い出しました。学校帰りの道すがら、彼らはどんな話をして歩いてきたのでしょう。「今日の体育、楽しかったな」「今日の先生、怖かったな」「隣の席の○○ちゃん、髪型可愛かったね」とか何とか、その日の出来事を振り返っていたかもしれないし、今夜のテレビ番組の話題や、好きなタレント、ゲームの話なんかしていたのかもしれません。
いやいや、今の小学生はめちゃくちゃ忙しく、「オレ、これから塾。おやつ食べたらすぐに行くんだ」とか、「スイミングスクールの日だから、宿題は帰ってからだな」と、分刻みのスケジュールについて語っていたとも考えられます。毎日習い事があるという小学生があたりまえにいて、そんな話を聞くと、丸一日ぐうたらしていたいと思う自分が情けなくなってしまうほど。手を振り続けていた男の子たちはまさにその主人公で、このあとお互い頑張ろうな、とエールを送り合っていたのもしれません。
いずれにしろ、ラインで手短に、そして瞬時に相手と話すことのできる時代。だからこそ、顔を見て、相手の姿が見えなくなるまで手を振るという光景がやたら懐かしく、美しいものに見えました。通りすがりの人がいようといまいと、気にすることなく大きな声で「バ~イバ~イ!」。距離が離れていく分2人の声がどんどん大きくなって、しばらくの間それが住宅街にリズミカルに響き、大人が忘れてしまった何かを思い出させてくれるようでした。
「じゃあ、またね」の言葉の響き。年齢を重ねると、そのつもりがいつの間にやら数年・・・。というのが、とても多いことに気づきます。「じゃあ、またお会いしましょう」と言ってその後なかなか会うチャンスがなく、「また飲もうね~」も、連絡を取るタイミングを逸してしまうことがよくあります。「そのうちに」という感覚に慣れてしまっているんでしょうね。
2024年もすでに半分が過ぎようとしていますが、「そのうちに」なんて思っていると何もできず、何もしない1年になってしまうかも。2024年の後半は、「そのうちに」の撤回を心掛けようかと思う今日この頃です。