子育て講演も多かった、柔道家・古賀さん
今年3月、桜が満開の時期に悲しいお知らせがありました。バルセロナ五輪で金メダルをとった、柔道家の古賀稔彦さんがガンのため53歳の若さで亡くなったというものです。個人的なお話で恐縮ですが、古賀さんとは仕事を通じて知り合い、一時期でしたがいろいろなお話をしました。たまたま我が家の長女と古賀さんのご長女(第三子)が同じ年に生まれたこともご縁でした。ここ数年は接点なく、またお目にかかりたいと思いながらそれはすでに叶わぬ夢に。テレビで極端に痩せていた姿を見て心配していたのですが、まさか・・・の思いです。
彼は本当に魅力ある男で、小学校を卒業したあと九州の親元を離れ、東京で寄宿舎生活を送りながら柔道に明け暮れました。それだけでも男気を感じますが、オリンピックでの戦いぶりはまさに孤高の戦士。柔道という競技の魅力を体いっぱいに発信し、観る者を魅了し続けました。でも、その素顔はびっくりするほど明るくて、本当に普通の人。畳の上とは違って肩肘張らず、茶目っ気たっぷり「お、あそこにパチンコ屋が。ちょっと行ってきま~す」なんて言っていた姿は、今思い出しても笑えます。
そんな彼が、今から4年ほど前に、制服メーカーの「カンコー学生服」が主催した講演会に登壇したことがありました。はい、聴きに行きましたよ~。その時の様子は、このユニスタブログにも掲載しています。2017年11月14日付のブログをぜひ遡って覗いてみてください。引退後はあちこちの講演会に呼ばれていて、恐らくその後も数えきれないほど全国を飛び回っていたはずです。そこで彼に会った多くの人がその人柄に触れ、ファンになり、またいつか会いたいなとそんな思いを抱いたであろうと思います。
古賀さんは自宅に併設した柔道場「古賀塾」で子どもたちの指導にもあたっていましたが、子どもそれぞれの長所を生かし、怒ることなく、自分からうまくなりたいと思うような指導を心掛けていました。昭和の厳しい指導を受けてきた人間でありながら、切り替えの早さは見事でした。講演会では子育てをテーマにしてものも多く、また機会があれば聴きたいと思っていたのに残念です。
15日(土)朝日新聞夕刊「惜別」の欄に、大きく古賀さんの記事が載っていました。小さな体で大物を倒す、その偉業が描かれていました。白い柔道着が何より似合っていた古賀さん。心よりご冥福をお祈りします。