学生さんが必ず使う「国語辞典」のお話
おそらく多くの中高生が、学生カバンの中に電子辞書を入れて登校しているのではないでしょうか。携帯を使えばいいという人もいるでしょうが、今日は辞書のお話を少々したいと思います。
先日、国語辞典の編纂者の方にお会いしました。映画化やアニメ化もされた「舟を編む」(原作・三浦しをん)が数年前にベストセラーとなり、辞書を編纂する過程が小説として事細かに描かれて興味を持った方も少なくないと思います。
辞書は三省堂や岩波書店など、複数の出版社から出ていますが、それぞれ特色があって語釈(説明文)も違い、比べてみるととても面白いんです。例えば、「右」という言葉を皆さんならどう説明しますか? あったりまえの言葉ほど難しく、思わず言葉に詰まってしまいます。それを各社はこんな風に解説しています。
A社:人の体の心臓のない方
B社:カタカナの「リ」の字の長い方
C社:野球のホームベースから一塁方向
D社:アナログ時計の1~5時までの表示がある方
E社:この辞書を開いて読むとき、偶数のページのある側
いや~、各社苦労と工夫のあとが見えますね。多くは左右非対称のものを例にあげ、その一方の側と説明しているようです。なるほどって思います。そして、こうして説明の仕方にも違いがあるので、自分の目的や使い方に合った辞書を探すといいそうです。そのうえで、一つの辞書だけでなく、複数手元に置いて見比べてみるのも楽しい辞書の使い方だと教わりました。
今ではインターネットの国語辞典で、無料で言葉が簡単に調べられます。ややもするとこの先、紙の辞書も電子辞書もいらない時代になってしまうかもしれません。でも、インターネットに載っている言葉の説明で本当に足りるのか。辞書編纂者の方はそう言っていました。先ほどAからE社まで異なる説明があると記したように、言葉の説明ってひと言で言い表せるものではなく、いろいろな角度から見て知る必要があるんですよね。まずはネットで知らべてみて、さらに手元にある紙や電子辞書で調べてみる。各社は現代に合わせてよりわかりやすく説明しています。そこまで言葉に対して興味を持って接すると、日常の風景がまた違って見えますよとアドバイスされました。
皆さんの本棚には国語辞書はありますか? どこの社のものですか? せっかく辞書編纂に関わる方にお会いしたので、次回も関連したお話をちょこっとしたいと思います! ご清聴、ありがとうございました~。