秀逸だった昨夜の2つのドキュメンタリー番組
昨夜は2つのドキュメンタリー番組に見入ってしまいました。1つはNHKBS「アナザーストーリー 横田めぐみさん拉致!知られざる家族の闘い」です。めぐみちゃんご家族の、見えない敵を相手に言葉を荒げることなく闘い続ける毅然とした態度。お母さんの親しい友人たちや、この事件を追い続けるジャーナリストなど、それぞれの強い意志と姿に心動かされました。そして、番組にはめぐみちゃんを実際に拉致したとされる人物も登場し、今や国内で英雄扱いとか。ジャーナリストからの取材にも暴言を吐くほどで、その信じがたい映像に憤りを感じないではいられませんでした。
めぐみちゃんは中学1年生のとき、バドミントンの部活帰りに行方がわからなくなりました。もう数年前になりますが、私の娘も中学でバドミントン部に在籍し、夜暗くなってからの帰宅はしょっちゅう。めぐみちゃんが着ていた紺色の制服は娘の学校とよく似ており、もしも自分の娘だったら・・・と思うと本当に他人事とは思えません。三鷹でやっていためぐみちゃんの写真展に娘を連れて行ったことがありますが、娘がこのドキュメンタリーを一緒に見ながら「つらい、涙が止まらない」とつぶやいていました。あの紺色の制服、今もめぐみちゃんのもとにあるのでしょうか。生きていることを信じ、1日も早く帰国が叶うようにと祈るばかりです。
もう1つは、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」。清掃業を生業とし、人々が寝静まってからの深夜に飲食店などのゴミを走り回って回収する男性を紹介したものでした。副題は「自分を拾う、夢を運ぶ~ゴミ収集員・岳裕介」。いや~、感動ものでした。早く次のゴミの場所へ行きたいと全速力で走り、荷台にゴミを積んでは運転席に戻って運転。車に乗って降りてを1日に400回も繰り返し、ズボンのお尻はあっという間にボロボロになるそうです。しかもゴミの捨て方がひどく、分別されていないものがたくさん。それをより分け、散らかっている生ゴミまで膝をついて手で回収。こんなこと、普通できるでしょうか。
捨てた人をうらむ言葉など一切出ず、逆に店が開いてからわざわざ訪ねてゴミの捨て方を教え、「街をきれいにしましょう」と協力を呼びかけます。にもかかわらず、大学生が多く通る道では、学生に「くせ~よ、ここ通るなよ」と車に向かって言われたことも。ゴミを回収してくれる人たちがいるから私たちは生活していけるというのに、彼らは大学で何を勉強しているんでしょうか・・・(残念極まりない)。ゴミの臭いが体にしみつき、お風呂に入ってもなかなか取れないと苦笑するそんな主人公の男性、家庭内の環境が悪く、自暴自棄になって若い頃はかなりワルだったとか。高校も中退してしまいました。でも一念発起して、今やゴミ回収のエキスパートに。店への声かけが効いて、きちんと分別されるようになったゴミ袋を見ながら「ヨシ!」と笑顔。その表情、その姿、じつにカッコよくステキでした。そして、「ゴミの袋には夢が詰まっている」とも言っていました。
ゴミの袋に、他人から見たら夢なんか感じません。でも、それが自分の向き合うべき仕事であったなら、これがどうなっていくのか、どうしていくべきかなど、どうせやるならそこに可能性と夢を抱きながらかかわりたい。できるかできないかはすべて考え方、自分次第なのだと再認識させられた気がしました。再放送は、12月8日(火)午前0時15分からです。 1週間限りですが「NHKプラス」で見逃し配信もあります。ご覧になっていない方はぜひどうぞ!