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視点を変えて「運慶」展を楽しむ。制服の似合いそうな童子は!?

先日、多くの来場者を集めている「運慶」展(東京国立博物館)に行ってきました。これがなんで学校制服と関係あるのかと言いますと、日本の仏教美術として異彩を放つ仏像の数々を、今回はちょっと違う視点で見たからです。その視点で用いたのは、作品を無理にわかろうと難しく考えるのではなく、作者が何を思ってつくったのか、なぜこんな構図になったのかなど、作られた背景などを考察することで作品のもつ意味を読み解く「図像学(イコノグラフィー)」です。

 

極端に言えば、図像学では「もしこの作品の中から1つ持ち帰るとしたら何を選ぶか」「部屋に飾りたいのはどれか」など、自分ならではの視点で作品を見てもいいそうです。今回とくに見たいと思っていたのが八大童子立像(金剛峯寺)で、運慶作の6体すべてが展示されているのですが、この童子を「学級委員にするなら」「応援団長にするなら」と、そんなテーマで見てもおもしろいと、図像学研究の大学教授に実際にアドバイスされていました。

 

そのとおり、見てみました! 子どもらしい生き生きとした表情で、まなざしが輝く個性豊かな6体の童子たち。いるいる、学級委員に応援団長。そして、ここからが制服バージョンです。学ランを着せて一番似合いそうなのは? ブレザーにネクタイがぴったりなのは? こいつはA体じゃなくB体のブレザーでないと入らんじゃないか、なんて想像を働かせてみると、楽しいのなんの。そして、胸筋や腹、腕の太くたくましい姿や、正面ばかりでなくぐるりと回って背中の筋肉のつき方や足裏なども観察。お尻はプリッと引き締まり、う~カッコいい。見事なふくらはぎにも感心しながら、これだと制服のスラックスが入らないな~、すぐに破けそうだなとも思ってしまいました。

 

この時代は今から800年以上前ですが、みんなこんなにたくましかったのでしょうか。そう考えたとき、今の学生たちはとてもスマートで、運動部の選手ですらあまりごつさは感じません。ギラギラした目の男子諸君が少ないような…。みんな同じでなくていい。この童子たちのように邪念に惑わされず、今を力強く生きてほしい。そんな思いがふと湧き上がってきました。間もなく制服販売が始まりますが、来春、こちらがハッとするような輝きある新入生に出会えたらうれしい限りです。

 

それにしても、6体の童子は今にも動き出しそうなほどリアルで迫力満点。展示は11月26日までですので、まだ見ていない方はお急ぎを~。

特別展「運慶」写真集より。学ランに似合いそうな童子は・・・。

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